第12回全日本学生フォーミュラ大会参戦マシン TG09
コンセプト
“コーナー脱出速度の向上”
〜駆動力・限界旋回G・応答性〜
〜駆動力・限界旋回G・応答性〜
過去の車輌の得点率からコーナーを含む競技が弱いことが分かりました。
TG08はエンデュランスに焦点を当て、コーナー脱出速度の向上をコンセプトとしました。
このコンセプトを実現するために軽量化・低速域の駆動力向上・限界旋回Gの向上を目標とし設計・製作を行ないました。
カーボンモノコック
低重心のため、主にドライバー姿勢の低下を行いました。視線が低下したものの形状の工夫により、コース走行に十分な視界を確保しています。
比剛性では、応力集中低減のため丸みをおびた形状となっています。整備性では、エンジン上部のフレームを分割式とし、エンジン脱着時間を60%短縮しました。
サスペンション
TG08ではフロント寄りだった重量配分をTG09はリア寄りの45:55とし、ホイールベースはTG08から150mm延長、1700mmに設計しています。
さらにリアのトレッド幅を100mm拡大しています。また、TG08で顕著に現れていたリアの不安定感を解消するために、コンポーネントのレイアウトやロール剛性の見直しを行うなど、TG09ではサスペンションを一新しました。
アップライト
TG09では限界旋回Gの向上をねらったため、アップライトへの入力は大きくなると考え、肉抜きの形やボルトの径を変えることで応力集中を減らしました。
重量はアップライト単体では重くなってしまったものの、アップライト周辺アセンブリを部品の統合や肉抜きを行うことによりトータルで重量の増減をなくしました。
シート
昨年に比べ腰部両脇を大きくせり上がらせ、シート上部にはドライバーの肩を支えるようなサポート形状を追加しました。
また、新たに発泡ウレタンを使用し各ドライバーの体形に合わせたクッションを製作しました。
これらの取り組みにより高いホールド性を実現することができ、ドライバーへの負荷の低減、正確なマシンインフォメーションの伝達が可能となりました。
吸気系
低速域でのトルクを向上させるため、慣性効果が8000rpm、脈動効果が5500rpmから発生するよう、吸気管長を410mmとしました。
排気系との相乗効果で、トルクピークを8000rpmまで下げることがでました。吸気口を上方へ向けることにより、吸気温度を下げ、充填効率を向上させています。
吸気系の管内はすべて研磨を行い、壁面の摩擦抵抗を軽減させています。
排気系
そのために4-2-1集合のレイアウトとし、4本部と2本部の長さを純正排気よりも長くし、6000rpm付近で排気慣性効果と脈動効果が発生する長さで等長としました。
サイレンサには排気抵抗が少なく軽量な、チタン製ストレート型を採用しました。エキゾーストマニホールドの材質にSUS304を使用することでコストを3分の1に抑えることが出来ました。
ドライブトレイン
また、スプロケット丁数を38丁から41丁にすることにより、狙いである35?45 km/hの脱出速度で、エンジンのトルク特性がフラットな部分を使用出来るようにしています。
冷却・燃料系
水管も手曲げのアルミパイプを使用し、少しでも冷却効果を得られるように工夫しています。
燃料系は熱対策のため、燃料タンクを熱源であるエンジンから出来るだけ離れたところに配置し、燃料ラインはエンジン横に配置しています。
これにより、コモンレールにおける燃料の温度を低下させ、より安定して燃料を供給できるようにしました。
電装系
整備性向上のために、サブハーネス化を行ないました。すべて防水コネクタを採用し安全性・信頼性を確保しました。製作の際にモノコックのマスターモデルを利用してワイヤーハーネスの取り回しを検討し、シンプルな配線になるようにしました。
また、新たにステアセンサー、サスストロークセンサーを設けることで、より車輌の挙動が正確に把握できるようになりました。
主要諸元
全長 | 2870mm |
全高 | 1083mm |
全幅 | 1407mm |
ホイールベース | 1700mm |
トレッド 前/後 | 1210mm / 1210mm |
最低地上高 | 30mm |
車重 | 205kg |
エンジン | PC40E 599cc |
最大出力(クランク軸出力補正値) | 68.0ps/11000rpm |
最大トルク | 5.3kgm/8000rpm |
駆動方式 | チェーン駆動 |
サスペンション 前/後 | ダブルウィッシュボーン / ダブルウィッシュボーン |
ブレーキ 前/後 | アウトボードツインローター / アウトボードツインローター |
タイヤ 前/後 | 20.5 x 7.0-13 Hoosier / 20.5 x 7.0-13 Hoosier |