第6回全日本学生フォーミュラ大会参戦マシン TG03
コンセプト
TG02で車重200kgを実現するためにスポイルされたドライバビリティを取り戻します.このため,TG03ではTG02に無かったいくつかの新しい部品が追加されますが,カーボンモノコックシャシの導入をはじめとした新技術の投入により,TG02と同等の車重を達成しています.
カーボンモノコック
TG03では車台構造をカーボンモノコック構造としました.これにより,TG02のフレームよりも軽量化を実現しながら高剛性・高減衰性を獲得しました.
加えてカーボンモノコック構造はエネルギー吸収力が大きいので,ドライバーの安全性が飛躍的に向上しています.
パッケージング
旋回性能と 回頭性はドライバビリティに大きな影響を与えます.これらを向上させるため,マスの集中と低重心化を推進しています.ドライバー,エンジンといった重量物は可能な限り低く,そして重心の近くに配置しています.
また,TG02を操縦したドライバーの意見をフィードバックしホイールベースを1550mmから1700mmに,リアトレッドを1100mmから1200mmに拡大し,走行安定性を高めました.
サスペンション
サスペンションはフロント,リアともにダブルウィッシュボーン・プッシュロッド式を採用しています.TG02ではフロントにのみ装備されていたスタビライザをTG03ではリアにも装備し,ロール剛性とピッチ剛性のバランスのセッティング幅を広くしています.
ステアリング
ステアリングシステムは軽量化や最適なステアリングレシオを得るため,オリジナルのステアリングシステムを開発し,搭載しています.運転中にドライバーの腕が交差せず,クイックな操作を得るためにロックトゥロックを1/2回転と設定しています.
パワートレイン
エンジンはTG02と同様モーターサイクル用エンジンHONDA PC37E(CBR600RR)を搭載しています.
シャシダイナモ上での試験を繰り返し,F-SAEの規則で要求されるリストリクタの存在下での吸気系,排気系,エンジンマネジメントの再セッティングを行いました.
最高出力・トルクはTG02より向上し,80ps,5.5kgf・mを達成しています.
トルク特性もフラットで,F-SAEに極めてマッチした特性を得ています.
ドライブトレイン
ドライバビリティの向上を図るためシュアトラックLSDを採用しています.
最終減速比をTG02より大きくしているため,ドリブンスプロケットが大型化しましたが,独自の軽量化を施すことで昨年よりも軽量なドリブンスプロケットとなりました.
ブレーキ
TG02ではリアブレーキは1系統でしたが,TG03ではドライバーの操作に対して機敏に反応するように左右輪に装備しています.ブレーキロータの材質は二輪車では外観を重視するため錆の出にくいステンレスが用いられますが,減衰性等のブレーキロータ本来の機能を考えると,鋳鉄が最も適しています.F-SAE車輌に用いるサイズの鋳鉄ブレーキロータは市場に多く出回っておらず,あったとしても高価なため,FC200製円盤から自作しています.ローター厚さ,ロータ表面のスリットなど,自由に設計できました.
エアロダイナミクス
TG03では流体解析を積極的に行い,グランドエフェクトによるダウンフォースを得られる車体下面構造の検討を行いました.
エレクトロニクス
計器盤はステアリングホイールに内蔵されており,ドライビングポジションによる視認性の変化をなくしています.
サスペンションストロークセンサ,加速度センサをはじめとした各種センサを搭載し,データロガーをもちいた定量的なセッティングの指標の取得に対応しています.
主要諸元
全長 | 2740mm |
全高 | 960mm |
全幅 | 1390mm |
ホイールベース | 1700mm |
トレッド 前/後 | 1200mm / 1200mm |
最低地上高 | 40mm |
エンジン | PC37E 599cc |
最大出力(クランク軸出力補正値) | 80ps/12000rpm |
最大トルク | 5.5kgm/9000rpm |
駆動方式 | チェーン駆動 |
サスペンション 前/後 | ダブルウィッシュボーン / ダブルウィッシュボーン |
ブレーキ 前/後 | アウトボードツインローター / アウトボードツインローター |
タイヤ 前/後 | 20.5 x 6.0 - 13 / 20.5 x 6.0 - 13 |